何年も前から,爪は伸びず固くなったまま。
徐々に艶が失われ黄ばんできている気さえする。
爪の根元から,先に向かって代わり映えのしない縦縞が並んだまま。
爪にできてる横皺のようなようなくびれは,同じ数だけ今も存在する。

泳いだ後,不思議と爪が伸びている。
そんなことも,今はもうない。

永遠にその闇の中に埋没してしまえるように願いながら眠る毎日。
埋没してしまう恐怖と,覚醒している時の恐怖。
そのバランスのなかで,倒錯した思考の遊びに埋没する。

一度許容を超えた入れ物は。
使い物にならなくなってしまうのだろうか。
容器のふちまで満々とたたえた重たい液体を流すことができればよかったのだけれど。

容器を傾け流そうとしたこともある。
その時容器の底が抜けたのか,ひっくりかえってしまったのか。
思考が停止してしまった今では,定かではない。
それは断末魔に似た悪あがきだったのかもしれない。
許容できる量が大きければ大きいほど,重たく圧倒した存在になる。

事に当たる時。
物を新しく作り出す時。
論理の積み上げがあれば必ず目指すものは出来上がるはずだ。
そういう持論をもっていた。
毎日が目指すべきものへの思考と,
そのための積上げた論理の中で彷徨う事で得られる結果だと。


しかし,虚栄に彩られた思考の断片が悪意を注ぎ込む。

毎日が思考の積み重ねの内に終わるのではなく。
朝消化できない量の液体が机の上に置かれ,それを胃袋にに流し込む作業。
毎日。毎日。
休む間もなく。
休む日もなく。
ひたすら彼の胃袋が破裂するのを望んでるように。
朝の机には前日の液体が残っていようがいまいが置かれる液体。
その中に悪意が存在する事に気づかなかった。
それは増えることがあっても,減ることはない。
論理を積み重ねていけば必ず到達点に到着するというプライドゆるさなかった。
だから,
飲みつづけけることを選択しつづけた。
しかし,それは消化不良とともに。
許容を超えた胃袋の拒絶反応による嘔吐となって表れた。
飲み続けることを求める悪意に満ちた自己たちは,比重の重い液体を飲むことを要求するようになる。

下痢と嘔吐を繰り返しながら,いつしか昼と夜の区別なく飲み続け,周りの景色は無機質に変わり,自分以外存在しない景色が広がっていった。
さげすみ・あざけり・罵声は,まるででショウウインドーの外からささやかれているように聞こえるようになる。
いまさらどうすることもできなく・・・黒い血の塊が胸にこみ上げてくるのを感じた時。

<div align="center">地上への衝撃となって終焉のときを迎えるのである。
</div><div align="center">そして永遠の闇に葬られてしまう。</div>